1日にどのくらい油を摂ればいい?摂取量の目安
1日にどのくらい油を摂ればいい?──厚生労働省の基準でわかる"脂質の適正量"
「油は太る」「脂質はなるべく減らすべき」──そんなイメージを持っていませんか? 実は、油(脂質)は私たちの体にとって欠かせない栄養素です。細胞の膜をつくり、ホルモンの材料になり、ビタミンA・D・E・Kの吸収を助ける役割を担っています。大切なのは「摂らないこと」ではなく、「適量を、良い質で摂ること」です。
ここでは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を中心に、30代女性が知っておきたい脂質の目安量を、できるだけかみ砕いてお伝えします。
まず押さえたい基本ルール──「脂質は1日のエネルギーの20〜30%」
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1歳以上のすべての男女に対し、脂質から摂るエネルギーの割合を総エネルギーの20%以上30%未満と定めています(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html )。
「%って言われてもピンとこない」という方のために、30代女性の日常的な摂取カロリー(おおむね1,700〜2,000 kcal)で換算してみましょう。脂質は1 gあたり9 kcalのエネルギーを持っているので、次の計算式で1日のグラム数がわかります。
計算式:1日の摂取カロリー × 0.20〜0.30 ÷ 9 = 脂質の目安グラム数
たとえば1日1,800 kcalの場合、1,800 × 0.20 ÷ 9 = 40 g(下限)、1,800 × 0.30 ÷ 9 = 60 g(上限)。つまり、1日あたり約40〜60 gの脂質が適正範囲になります。「大さじ1杯の油が約12 g」と覚えておくと、料理に使う油の量をイメージしやすくなります。ただし、この40〜60 gには調理油だけでなく、肉・魚・乳製品・ナッツ・お菓子など食品そのものに含まれる「見えない脂質」もすべて含まれる点に注意してください。
参考までに、令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査によると、日本人女性(20歳以上)の約46.4%が脂質エネルギー比30%を超えており、知らず知らずのうちに油の摂りすぎになっている方が少なくありません(出典:厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf )。
脂質の「質」がもっと大事──脂肪酸ごとの1日の目安
脂質は大きく分けて、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(オメガ6系・オメガ3系)の4つのグループに分類されます。同じ「油」でも、どのグループの脂肪酸を多く含むかで、体への影響はまったく違います。厚生労働省はグループごとに摂取の目安を設けています。以下に、30代女性にとってとくに重要な数値をまとめます。
#### ① 飽和脂肪酸(バター、肉の脂身、ラード、ココナッツオイルなど)
目標量は総エネルギーの7%以下です(出典:日本人の食事摂取基準2025年版)。1日1,800 kcalの場合、1,800 × 0.07 ÷ 9 = 14 g が上限の目安になります。しかし、農林水産省の資料によれば、現在の日本人成人の飽和脂肪酸摂取量は平均で総エネルギーの約8.3%と、すでに目標を超えている状態です(出典:農林水産省「脂質のとりすぎに注意」https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_care.html )。飽和脂肪酸を摂りすぎると血中のLDL(悪玉)コレステロールが上昇し、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患リスクが高まることがわかっています。お菓子や菓子パン、加工食品に含まれる「見えない飽和脂肪酸」を意識するだけで、かなり改善できます。
#### ② n-6系脂肪酸(オメガ6)──大豆油・コーン油・サラダ油に豊富
30代女性の目安量は1日8 gです(出典:日本人の食事摂取基準2025年版)。代表的なのはリノール酸で、大豆油やコーン油、ごま油、マヨネーズなどに多く含まれます。リノール酸は体内で合成できない「必須脂肪酸」なので食事から摂る必要がありますが、現代の食生活では不足よりも摂りすぎが問題になりがちです。サラダ油や加工食品を頻繁に使っていれば、意識しなくても8 gは十分に満たせることがほとんどなので、むしろ「摂りすぎていないか」を気にかけるほうが現実的です。
#### ③ n-3系脂肪酸(オメガ3)──えごま油・アマニ油・青魚に豊富
30代女性の目安量は1日1.6 gです(18〜29歳女性も同様に1.6 g。出典:日本人の食事摂取基準2025年版)。オメガ3には、植物油に多いα-リノレン酸(ALA)と、青魚に多いEPA・DHAがあり、どちらも血液中の中性脂肪を下げ、炎症を抑え、脳の機能を維持する働きがあります。
ここで覚えておきたいのが、えごま油やアマニ油なら「小さじ1杯(約4〜5 g)」で1日分のオメガ3をほぼ満たせるということ。えごま油100 gにはα-リノレン酸が約58 g、アマニ油には約57 g含まれているため(出典:文部科学省「日本食品標準成分表」https://fooddb.mext.go.jp/ )、小さじ1杯で約2.3〜2.5 gのオメガ3が摂れます。朝の味噌汁やヨーグルト、納豆にひとまわしするだけで十分です。
一方、青魚からのEPA・DHA摂取も大切で、サバやイワシを週に2〜3回食べることで、植物性ALAでは十分に補いきれないEPA・DHAを直接得ることができます。
#### ④ 一価不飽和脂肪酸(オメガ9)──オリーブオイル・菜種油・アボカドに豊富
代表的なのはオレイン酸です。厚生労働省は一価不飽和脂肪酸について、明確な数値目標は設定していません。これは、一価不飽和脂肪酸が体内でも合成でき、必須脂肪酸ではないためです。ただし、飽和脂肪酸の一部をオレイン酸に置き換えることで、LDLコレステロールを下げる効果が期待されるとの研究報告は多くあります。日常の調理油としてオリーブオイルを使うのは、飽和脂肪酸の摂取を自然に減らす良い方法といえます。
#### ⑤ トランス脂肪酸──マーガリン・ショートニング・加工食品に残存
厚生労働省は、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギーの1%未満にとどめ、できるだけ少なくすることを推奨しています(出典:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html )。1日1,800 kcalなら、1,800 × 0.01 ÷ 9 = 2 g 未満ということになります。近年、日本の食品メーカーの多くがトランス脂肪酸の低減に取り組んでおり、平均摂取量は欧米より低い水準にありますが、市販の焼き菓子やスナック菓子を頻繁に食べる方は注意が必要です。
30代女性(1日1,800 kcal想定)の脂肪酸バランス早見表
| 脂肪酸グループ | 主な食品例 | 1日の目安 | 基準の考え方 |
|---|---|---|---|
| 脂質全体 | すべての油脂・食品中の脂質 | 40〜60 g(エネルギー比20〜30%) | 目標量(下限・上限) |
| 飽和脂肪酸 | バター、肉脂身、ラード、ココナッツ油 | 14 g 以下(エネルギー比7%以下) | 目標量(上限) |
| n-6系(オメガ6) | 大豆油、コーン油、ごま油 | 8 g | 目安量 |
| n-3系(オメガ3) | えごま油、アマニ油、サバ、イワシ | 1.6 g | 目安量 |
| 一価不飽和(オメガ9) | オリーブオイル、菜種油、アボカド | 数値目標なし(飽和脂肪酸の代替を推奨) | ── |
| トランス脂肪酸 | マーガリン、ショートニング、一部菓子 | 2 g 未満(エネルギー比1%未満) | できるだけ少なく |
(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、農林水産省「脂質による健康影響」)
「結局、毎日どうすればいいの?」──30代女性のための実践アドバイス
数字が並ぶと難しく感じるかもしれませんが、普段の食卓で意識するポイントはシンプルです。
まず、調理油は「大さじ1〜2杯(12〜24 g)」を目安にしてください。残りの20〜30 g程度は、肉・魚・乳製品・卵・大豆製品など食材に含まれる脂質で自然に満たされます。揚げ物が続くとすぐに上限を超えるので、揚げ物は週1〜2回に抑え、蒸す・茹でる・焼くなどの調理法を中心にすると、油の摂りすぎを防ぎやすくなります。
次に、朝の「小さじ1杯のえごま油(またはアマニ油)」を習慣にしましょう。これだけで1日分のオメガ3をほぼカバーでき、血液中の中性脂肪を下げる手助けになります。味噌汁、納豆、ヨーグルト、スープなど、温かいものに「食べる直前にかける」のがベストです。加熱するとオメガ3が酸化してしまうため、火を止めてから加えてください。
そして、飽和脂肪酸は「引き算」で考えるのがコツです。バターをオリーブオイルに替える、揚げ物をオーブン焼きにする、菓子パンをおにぎりに替える──こうした小さな置き換えの積み重ねで、飽和脂肪酸を7%以下に近づけることができます。
最後に、週2〜3回の青魚も忘れずに。サバ缶やイワシ缶は調理も簡単で、EPA・DHAを手軽に摂れます。お子さんの脳の発達にも欠かせない栄養素なので、家族みんなの食卓に取り入れる価値があります。
油の摂りすぎサインと、逆に不足のサイン
油を摂りすぎているときのサインとしては、体重の増加、肌のべたつき、胃もたれが頻繁に起きるなどがあります。一方で、極端に油を減らしすぎると、肌の乾燥、髪のパサつき、便秘、ホルモンバランスの乱れ、そして脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収不良を招くことがあります。とくにダイエット中の30代女性は「油=敵」と考えがちですが、脂質エネルギー比が20%を切ると健康リスクが高まるため、厚生労働省も下限を20%に設定しています。「減らす」のではなく「良い油に入れ替える」という発想が大切です。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書」は以下のURLで全文が公開されています(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html )。脂質に関する章は「1-3 脂質」として詳細なPDFが掲載されています(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586558.pdf )。国民健康・栄養調査の最新結果は令和5年版が参照できます(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf )。農林水産省の脂質関連ページでは、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取実態と低減策がまとめられています(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html 、https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_care.html )。食品中の脂肪酸組成は、文部科学省「日本食品標準成分表」のデータベースで確認できます(https://fooddb.mext.go.jp/ )。
油は「敵」ではなく「選び方」がすべてです。この記事が、毎日のお買い物や献立づくりの小さなヒントになれば嬉しいです。
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