オメガ3・6・9とは?特徴と上手な摂り方
はじめに ── 「油って結局、何を選べばいいの?」
スーパーの油コーナーに行くと「オメガ3」「亜麻仁油」「えごま油」「エキストラバージン」……と、ずらりと並んでいて、正直どれを買えばいいのか迷いますよね。スレッズやInstagramで「えごま油がいいよ」という投稿を見て気になっていたけれど、何がどういいのか、ちょっとモヤモヤしたまま……という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」や農林水産省の公式情報をきちんと確認したうえで、「オメガ3・6・9」のちがいと上手な摂り方を、できるだけかみくだいて解説していきます。長めの記事ですが、これを読めば今日のスーパーでの油選びがグッと楽になるはずです。
そもそも「オメガ」って何?── 油の中身は「脂肪酸」でできている
まず、大前提のお話から。
私たちがふだん「油」と呼んでいるもの(サラダ油、オリーブオイル、バターなど)は、細かく見ると「脂肪酸」という小さなパーツがたくさん集まってできています。この脂肪酸にはいくつかの種類があって、大きく分けると「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2グループに分かれます。
ざっくり言うと、飽和脂肪酸はバターやラード、お肉の脂のように常温で固まる油に多いもの。不飽和脂肪酸は、植物油や魚の油のように常温で液体のままのものに多く含まれます。
そして、この「不飽和脂肪酸」をさらに細かく分類したのが、オメガ3、オメガ6、オメガ9という名前なのです。
農林水産省の解説によれば、不飽和脂肪酸は化学構造上の「二重結合」の位置によって分類されます(参照:農林水産省「脂質による健康影響」2025年1月更新)。末端から数えて3番目に最初の二重結合があるものが「n-3系(オメガ3)」、6番目が「n-6系(オメガ6)」、9番目が「n-9系(オメガ9)」。名前の数字は、この二重結合の位置を表しているだけなんです。
つまり、「オメガ○」とは、油の中に含まれる脂肪酸の "種類" を表す分類名。スレッズで「オメガ3がいい!」と言われているのは、「オメガ3という種類の脂肪酸をもっと食事で摂りましょう」ということだったんですね。
オメガ3 ── 現代人にいちばん足りていない「必須脂肪酸」
オメガ3ってどんな脂肪酸?
オメガ3(n-3系脂肪酸)は、体の中でつくることができない「必須脂肪酸」のひとつ。つまり、食べ物から摂るしか手段がない、とても大切な栄養素です。
農林水産省の公式ページにもこう書かれています。
「n-3系脂肪酸には、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあり、α-リノレン酸は植物油が、EPAやDHAは魚介類が主な摂取源です。これらの脂肪酸は、体内で合成できない必須脂肪酸です。」(農林水産省「脂質による健康影響」より)
名前がちょっと難しいですが、整理するとこんな感じです。
α-リノレン酸(アルファ-リノレン酸) …… えごま油、亜麻仁(あまに)油、くるみなどの "植物系" に多い。体の中で一部がEPAやDHAに変わる。
EPA(エイコサペンタエン酸) …… サバ、イワシ、サンマなどの "青魚系" に多い。血液サラサラ系の働きで知られる。
DHA(ドコサヘキサエン酸) …… 同じく魚に多い。脳や神経組織の構成成分としても重要。
30代女性、どれくらい摂ればいい?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、30〜49歳の女性のn-3系脂肪酸の目安量は1日あたり1.7gと設定されています(参照:農林水産省「脂質による健康影響」に掲載の食事摂取基準表、および健康長寿ネット「三大栄養素の脂質の働きと1日の摂取量」2025年2月更新)。妊婦さんの場合は1.7g、授乳中のママも1.7gです。
この「1.7g」って実際にはどのくらいかというと、えごま油や亜麻仁油なら小さじ1杯弱(約3〜4g)で十分クリアできる量。えごま油100gあたりには約58gものオメガ3(α-リノレン酸)が含まれているので、ほんのちょっとで効率よく摂れます(参照:健康長寿ネット 食品成分表データ)。
あるいは、サバの水煮缶を半分(約90g)食べるだけでも、EPAとDHAあわせて2g以上のオメガ3が摂れます。
オメガ3が多い食品まとめ
植物系 …… えごま油、亜麻仁油、くるみ、チアシード
魚系 …… サバ、サンマ、イワシ、ブリ、サケ
特に若い世代では魚の摂取量が減っていて、オメガ3が不足しがちだと言われています。「お魚を毎日食べるのはちょっと大変……」という方は、えごま油や亜麻仁油を味噌汁やサラダにちょい足しするだけで、手軽に補うことができますよ。
オメガ6 ── 必須脂肪酸だけど「摂りすぎ注意」
オメガ6ってどんな脂肪酸?
オメガ6(n-6系脂肪酸)もまた、体の中ではつくれない必須脂肪酸です。代表選手はリノール酸で、農林水産省によれば「日本人が食品から摂取するn-6系脂肪酸の98%はリノール酸」とされています(農林水産省「脂質による健康影響」より)。
オメガ6自体は体にとってなくてはならないもの。細胞膜の材料になったり、体の免疫機能を支えたりする大事な役割があります。
でも、現代人は「摂りすぎ」になりやすい
問題は、オメガ6は日常の食事であまりにもカンタンに摂れてしまうこと。大豆油、コーン油、ごま油、マヨネーズ、スナック菓子、揚げ物、カップ麺……ふだん何気なく食べているものの多くにオメガ6はたっぷり含まれています。
健康長寿ネットに掲載されている食品成分データを見ると、ごま油は100gあたり約40.9gがオメガ6。マヨネーズ(全卵型)も100gあたり約18gがオメガ6です。外食やお惣菜が多いと、知らないうちにかなりの量を摂っていることになります。
オメガ6(リノール酸)は体内で「アラキドン酸」という物質に変わりますが、このアラキドン酸が過剰になると、炎症を促進する方向に働くことがわかっています。麻布大学の守口徹教授は日経新聞の取材に対し、「リノール酸は必須脂肪酸だが、取りすぎると免疫細胞が働きにくくなる。その結果、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性炎症疾患を引き起こす」と指摘しています(参照:日本経済新聞「油のタイプ知り上手に摂取 リノール酸の取りすぎ注意」2016年9月)。
もちろんオメガ6がゼロではいけません。あくまで「摂りすぎ」が問題なのであって、厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)でも30〜49歳女性の目安量は1日9gと定められています。日常生活をしていればまず不足しない量なので、オメガ6は「意識して摂る」よりも「摂りすぎないように気をつける」脂肪酸だと考えるとわかりやすいです。
オメガ6が多い食品・調味料
油 …… 大豆油(サラダ油の主原料)、コーン油、ごま油、綿実油
食品 …… マヨネーズ、スナック菓子、カップ麺(油揚げタイプ)、ドレッシング類、揚げ物全般
オメガ9 ── 体内でもつくれる "守りの油"
オメガ9ってどんな脂肪酸?
オメガ9(n-9系脂肪酸)の代表はオレイン酸。オリーブオイルの主成分として有名ですね。
農林水産省のページにもはっきり書かれていますが、オメガ9は体内で飽和脂肪酸から合成できるため、必須脂肪酸ではありません。したがって、厚生労働省の食事摂取基準でも目安量や目標量は設定されていません(参照:農林水産省「脂質による健康影響」一価不飽和脂肪酸の項)。
とはいえ、オレイン酸には悪玉(LDL)コレステロールを減らし、善玉(HDL)コレステロールは減らしにくいという特徴があることが研究で示されています。また、オレイン酸は酸化しにくい(=加熱に強い)性質を持っていて、ふだんの炒め物や焼き物に使う油としてはとても優秀です。
オメガ9が多い食品
油 …… オリーブオイル(100gあたり約70〜80%がオレイン酸)、菜種油(キャノーラ油)、アボカドオイル、ハイオレイックタイプのひまわり油
食品 …… アボカド、アーモンド、マカダミアナッツ
いちばん大事なのは「オメガ6とオメガ3のバランス」
ここまで読んで、「で、結局どうすればいいの?」と思いますよね。ポイントはシンプルです。
現代の日本人の食生活で最も崩れやすいのが、オメガ6とオメガ3の摂取バランスです。
理想的な比率はオメガ6:オメガ3 = 2:1と言われています。ところが、現在の日本人の平均的な食生活ではこの比率が10:1ほどにまでオメガ6に偏っていると指摘されています(参照:ニップン「オメガ3とオメガ6の違いと適切なバランス」2024年6月)。
食事摂取基準(2025年版)の数字で見ても、30〜49歳女性の場合、オメガ6の目安量は9g/日に対してオメガ3は1.7g/日。もし目安量どおりに摂ったとしても比率は約5:1ですが、実態としてはオメガ6はもっと多く摂ってしまっているケースがほとんどです。
つまり、私たちがやるべきことは、「オメガ6を少し減らして、オメガ3を少し増やす」。これだけです。
実践編 ── 明日からできる「3つのアクション」
ここからは、具体的にどうすればいいかを3つに絞ってお伝えします。むずかしいことは何もありません。
アクション1:「かける油」をひとつ追加する
えごま油か亜麻仁油を1本買って、冷蔵庫に常備しましょう。この2つの油はオメガ3(α-リノレン酸)の含有量がずば抜けて高く、小さじ1杯(約4g)で1日の目安量をほぼカバーできます。
ただし、えごま油・亜麻仁油は加熱にとても弱いという性質があります。炒め物やフライに使ってしまうと、せっかくの脂肪酸が酸化してしまいます。使い方は「できあがった料理にかける」のが基本。お味噌汁、納豆、ヨーグルト、冷ややっこ、サラダなどに小さじ1杯ちょろっとかけるだけでOKです。
開封後は冷蔵庫に入れて、できれば1か月以内に使い切るようにしてください。
アクション2:「炒める油」を見直す
ふだんの炒め物にサラダ油(大豆油ベース)をたっぷり使っていませんか?サラダ油はオメガ6が多い油の代表格。これをオリーブオイルや菜種油(キャノーラ油)に切り替えるだけで、オメガ6の摂取量をぐっと抑えられます。
オリーブオイルや菜種油はオメガ9(オレイン酸)が主成分で、加熱にも比較的強いので、ふだんの炒め物・焼き物にぴったり。オリーブオイルの場合、加熱料理には「ピュアオリーブオイル」、サラダなど生食には風味豊かな「エキストラバージンオリーブオイル」と使い分けると経済的です。
アクション3:週に2回は「魚の日」をつくる
えごま油や亜麻仁油のα-リノレン酸も大切ですが、体の中でEPAやDHAに変換される効率はそこまで高くないことがわかっています。だからこそ、EPAやDHAを直接摂れる魚を食べることがとても効果的です。
忙しい日にはサバの水煮缶、鮭の切り身、しらすなどを活用すれば、そこまで手間はかかりません。サバ缶半分(約90g)で、EPAとDHAあわせて2g以上。しかもたんぱく質もたっぷりです。お子さんにもDHAは脳や神経の発達に大切なので、家族みんなにうれしい食材ですね。
まとめ ── 油の早見表
最後に、オメガ3・6・9のちがいを早見表にまとめておきます。
オメガ3(n-3系) …… 必須脂肪酸。体内で合成不可。現代人は不足しがち。えごま油・亜麻仁油・青魚に多い。積極的に摂りたい。30代女性の目安:1日1.7g(食事摂取基準2025年版)。
オメガ6(n-6系) …… 必須脂肪酸。体内で合成不可。大豆油・コーン油・ごま油・加工食品に多い。現代人は摂りすぎ傾向。意識して控えるくらいでちょうどいい。30代女性の目安:1日9g(食事摂取基準2025年版)。
オメガ9(n-9系) …… 体内で合成可能。必須脂肪酸ではない。オリーブオイル・菜種油に多い。加熱に強く、毎日の調理油に向いている。悪玉コレステロール対策として注目されている。食事摂取基準では目安量の設定なし。
おわりに
「自然派!」「完全オーガニック!」と気合を入れなくても大丈夫。油選びはほんの少しの知識と、ちょっとした習慣の変更でできることです。
冷蔵庫にえごま油か亜麻仁油を1本。炒め物用にオリーブオイルか菜種油を1本。そして週に2回はお魚の日。これだけで、家族の食卓の「油バランス」はかなり良い方向に変わっていきます。
大切な家族のごはんを「なんとなくいいもの」にしたいと思ったその気持ちが、もうすでに素晴らしい第一歩です。
参照資料
本記事は、以下の公的機関・専門機関の情報をもとに執筆しています。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 …… n-3系脂肪酸・n-6系脂肪酸の目安量、脂質全般の目標量について。
農林水産省「脂質による健康影響」(2025年1月更新) …… 飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸(n-3系・n-6系・一価不飽和脂肪酸)の分類と健康影響について。URL:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html
健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)「三大栄養素の脂質の働きと1日の摂取量」(2025年2月更新) …… 食品ごとの脂肪酸含有量データ(文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)ベース)、および食事摂取基準の表。URL:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shishitsu-shibousan.html
日本経済新聞「油のタイプ知り上手に摂取 リノール酸の取りすぎ注意」(2016年9月) …… 麻布大学 守口徹教授のコメント(オメガ6過剰摂取とアレルギーの関連)。
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